2014/09/05

【映画】大いなる沈黙へ ~グランド・シャルトルーズ修道院~

久しぶりに映画館へ。

『大いなる沈黙へ ~グランド・シャトルルーズ修道院~』を観て来ました。


構想から21年、ようやく完成したドキュメンタリー映画です。
照明、ナレーション、BGMなし、取材は監督一名のみという条件下で撮られたこの映画。
しかも修道士の会話もなし。一切の説明もなし。どうなっちゃうんだろう・・・?

そんな心配をよそに映画は淡々と進んでいきました。

自然光のみで撮られた修道院内部や修道士の佇まいはまるでフェルメールの絵画のよう。
そして蝋燭の炎で照らされた祈りのシーンはラ・トゥールの絵画のように美しかった。

厳しい戒律の中で孤独に祈り、働き、ひたすら自己の内なる神の声を聞く。
そんな日々を修道士は過ごしていました。
喧騒の中で忙しく生きる私は(実はのんびりしたもんんですけど)、それをちょっと贅沢にさえ感じてしまう。
でも彼らはこんな日々を一生続けていくのですね。

日曜の昼食後4時間が唯一会話が許された時間。
修道士たちが散歩をしなかがら会話をするシーン(2回あります)はとても興味深かった。
特に後半の雪山への散歩では屈託ない彼らの姿に思わず笑ってしまいました。

BGM、ナレーションは一切無いけれど、無音の世界ではありません。
祈りの声、鳥の鳴き声、風の音。そして感じられる「静寂」の穏やかな気配。

全盲の年老いた修道士が言っていました。
神には過去も未来もない。あるのは現在のみ。だから今を生きる。
2時間49分という長い映画でしたが、映画を観ながら瞑想をしていた感じです。
贅沢な時間をもらってしまいました。